この版の準備では, われわれ自身の授業経験による明快化とMIT内外の同僚の意見の多く を採り入れた. 汎用演算システム, 解釈系, レジスタ計算機シミュレータおよび翻訳系 を含め, 主要なプログラミングシステムの大部分を再構築した. またすべてのプログラ ムの例題を書き直し, IEEE Scheme標準(IEEE 1990)に適合するScheme実装ならプログラ ムが走るようにした.
この版はいくつかの新しい主題を強調する. 最も主要なのは計算モデルでの時の扱いの 異る解決法: 状態を持つオブジェクト, 並列プログラミング, 関数型プログラミング, 遅延評価と非決定性などの果す役割である. 並列性と非決定性の新しい節を採用し, こ の主題を本書全体で統一するように努めた.
本書の第一版はMITの一学期の科目の授業内容に即していた. 新しい教材のある第二版は, 単一学期ですべてを話すのは無理であり, 教師は選択する必要がある. われわれの授業 では, 時には論理型プログラミング(4.4節)を省くとか, 学生にレジスタ計算機シミュレー タは使わせるがその実装(5.2節)は話さないとか, 翻訳系(5.5節)はざっとした概説しか しないとかする. それにしても強烈な授業である. 教師によっては初めの3, 4章だけ話 し, 他は後の授業に残したいようだ.
ワールドワイドウェブの場所www-mitpress.mit.edu/sicpには本書の利用者への支
援がある. そこには本書のプログラム, プログラミングの宿題の例, 補助教材とLispの
Scheme方言のダウンロード可能な実装が置いてある.
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